トピックス
労働問題(個人向け)
2020/12/3
労働審判合意における口外禁止条項

冒頭のnews(R2.12.3)でも記したが、我々弁護士がよく直面する局面である。口外禁止条項は、必ずしも労働者側に不利益を与えるだけのものではないと一般的には考えられている。例えば、調停なり和解の内容が当事者以外の第三者に当事者のどちらかから口外されたり漏洩されることにより、会社だけではなく労働者も不利益を被る場合があるからです。労働者側が口外禁止に難色を示す場合としては、この長崎地裁の事案のように、労働者に支援者がいて、その者らへ報告ができなくなる場合が典型であると思われる。

長崎地裁(R2.12.1判決)の判断内容について云々することは、ここでは避けることにしたい。

ただ、この条項を盛り込むことの問題性は、労働審判だけにとどまらず、訴訟上の和解や労働仮処分での和解でも同じ問題があることから、動向が注目される。

2020/10/20
同一労働同一賃金について最高裁

最近、2つの最高裁判決が出ました。

一つは、賞与と退職金について⇒大阪医科薬科大事件、メトロコマース事件

もう一つは、給与の手当関係と休暇取得について⇒日本郵政事件

のものです。

2020/3/28
2020年4月からの賃金債権の消滅時効

2020年3月10日の記事:昨年末まで労政審で今年4月からの施行される改正民法との関係で、従来の労基法に基づく賃金債権の消滅時効(現行2年)をどうするかについて、労働側は改正民法に合せた5年、使用者側は現行維持2年を主張していたところ、タイムリミットが迫った今回、政府は、現行の2年から原則5年へ、ただし当面は3年とする法案を国会に提出することになった。2025年以降は原則の5年に延長される可能性がある。関連記事はこちらを参照⇒賃金消滅時効延長

追加記事:2020年3月27日、改正労働基準法が成立し、賃金債権の消滅時効期間を当面3年とした。
この改正法の施行は、改正民法の施行に合わせて2020年4月1日からとなるが、適用対象となる賃金債権自体も2020年4月1日以降に発生するものからとなる。すなわち、今年4月以降(例えば4月1日)に未払い賃金等を裁判手続で請求した場合、2020年4月から遡って3年前の2017年4月以降の賃金債権を時効にかからないものとして請求できるわけではなく、あくまで2020年4月1日以降発生した賃金債権から時効消滅が3年に伸びたということになる。言い換えれば、2020年3月31日までの発生賃金は、依然として2年の消滅時効にかかる。

まるまる3年分請求できるのは、2023年4月以降ということになる。

2019/6/10
固定残業代の有効性

企業に対する労働者からの未払賃金請求事件で、よく問題となるのが、使用者である企業側が定めた固定残業代です。労働者は、会社を辞めた後、在職当時、所定労働時間を超過して日々勤務した分の残業代を未払賃金として請求(退職時から遡って2年分)した際、使用者からは、労働者が主張する各月の超過勤務時間(主として典型的なのがタイムカードによる勤務時間)には、月当たり20時間分とか40時間分の固定残業代分の時間が含まれていると反論する場合です。詳しくは、こちらを参照⇒固定残業代の有効性

2018/8/2
長澤運輸事件(最高裁判断)

ハマキョウレックス事件と同時になされた最判H30.6.1長澤事件の最高裁判断の内容を整理してみました。こちらを参照⇒長澤運輸事件(最高裁判断)

ハマキョウレックス事件と同様に、同一労働同一賃金の問題、労働契約法20条との関係で、労働者らの主位的請求である同条から直ちに有期契約労働者の労働条件が、無期契約労働者と同一になるものではなく、予備的請求である不法行為を理由とする損害賠償請求として成り立つ余地があるとしているところが、実務上注目されるところです。

2018/7/20
ハマキョウレックス事件(最高裁判断)

最判H30.6.1ハマキョウレックス事件の最高裁判断の内容を整理してみました。こちらを参照⇒ハマキョウレックス最高裁判決解説

今日、同一労働同一賃金ということが労働条件として取り上げられています。正社員と契約社員との間の労働条件についての相違、とりわけ、各種手当関係で給与支給額に差が設けられている企業実態にメスを入れる画期的な判断といえます。

2018/2/21
郵便局契約社員と正社員

大阪地裁は、2/21、郵便局に勤務する契約社員8人が正社員と同じ仕事をしているのに待遇に格差があるのは労働契約法違反だとした手当の差額請求訴訟について、年末年始の勤務手当と住宅、扶養両手当の不支給を違法と認め、計約300万円の支払いを命じた(YOMIURI ONLINEの記事を参照)。

2017/12/19
有期雇用者の「5年ルール」問題

H24.8.10公布の「労働契約法の一部を改正する法律」で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールとなり、このルールはH25.4.1から施行となった。通算契約期間のカウントは、H25.4.1以後に開始する有期労働契約が対象となるため、H30.4.1時点で5年を超える有期労働者が同日の更新時点で無期労働契約に転換を申し込むことができることになる。

この時期を控えて、現在、「5年問題」としてマスコミでも取り上げられている。

使用者側企業は、対策として、通算5年までで雇い止めとするルールのための規則改正を急いだり、有期従業員を対象とした無期労働契約とするための採用試験や企業独自の制度(限定職員制度)による代替措置の検討などをしているところが見受けられる。

このような企業側の動きに対して、労働側は、5年で雇止めにする対応は、「5年ルール」の脱法行為だから許されないと反発している。

また、この「5年ルール」には、「クーリング」といって、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間を6か月以上設けると、前の有期労働契約は「5年ルール」の通算契約期間に含めないことになっています。

有期雇用者の方々は、このようなルールをよく知っておく必要があります。

2017/11/24
不当解雇、不当人事について応相談

不当解雇、不当人事について応相談、労働審判制度の活用が早期解決の第1歩です。
セクハラ、パワハラなどは個人としてどのように対処すべきでしょうか。

社員による正当な内部告発などを保護する法律というものがございます。
今日の労働裁判で多く係属しているのが、時間外労働による未払い賃金の請求訴訟です。
請求の仕方や証拠の確保など技術的側面をアドバイスします。
労働災害についての労基署の認定等についても、ご相談に乗ります。