政府が来年の通常国会への提出を目指す配偶者暴力防止・被害者保護法(DV防止法)改正案の素案によると、保護命令の対象が、従来の身体的暴力だけでなく、モラハラなどの精神的暴力や性的暴力も保護の対象になるとのこと。
我々法律家としては、保護命令を申請する場合の証拠化の問題が重要と考えています。
従来の身体的暴力の場合、相手方配偶者の暴力で怪我を負ったことの証拠として、医師の診断書、負傷箇所の写真(携帯写メールなど)が有効なものとして可能な限り提出するようにしていました。
今回改正の対象となるモラハラなどの精神的暴力については、夫婦間のLINEメール等、あるいは会話の録音(携帯端末による録音音声等)などが有効と考えられます。
法案の成立、施行の時期が未だ不明であり、提出法案が修正される余地もあります。
引続き情報を注視してゆく必要があります。関連記事はこちらを参照⇒DV防止法改正素案(2022年)
内閣府の専門調査会は令和3年3月17日、通報や保護命令の対象を身体的暴力に限らず、精神的、性的暴力も含めるよう求める報告書をまとめたという。
改正の要点
(1)暴言や無視、性行為の強要なども被害者の苦痛が大きいためDVの対象にすること
(2)生活費を渡さないといった経済的暴力も対象とすること
内閣府は、DV防止法改正の作業に着手し、2021年度に有識者検討会を立ち上げ、詳細な制度設計を詰めるという。
関連記事はこちらを参照⇒DV法改正(検討)
主債務者の金銭債務を連帯保証した者が、主債務者の責任財産に事前求償権を行使して保全処分をどのような場合に行使できるかを分析検討してみました。こちらを参照⇒事前求償権を被保全権利とする保全処分
DV保護命令の理解に役立つ資料を公開します。パワーポイントで作成したものを動画化してあります。統計資料は少し古いのですがご参照ください。⇒DV法講義(保護命令制度)
今月25日、内閣府が発表した2018年度DV相談件数の増加、前年度比8%増えという。これがDV保護命令申立て、及び保護命令の発令には必ずしもつながっていない懸念があると思われます。関連記事はこちら⇒DV相談、11万件
先般、医師業務を停止処分とした決定に対し、当該処分の執行停止の裁判(仮の地位を定める仮処分)が東京地裁でありました。保全事件を扱う専門家からすると、非常に興味のある決定でした。東京地裁保全部が判断したものであり、影響も大きいと思います。
トラウト法律事務所のFacebookページに動画をアップロードしました。こちらをクリック名誉毀損セミナー
いわゆるDV防止法に基づく保護命令の申立てには、警察署への相談実績など一定のプロセスを経て、地方裁判所に申し立てを行うことになりますが、最初から弁護士が申立人に付いて関与するケースは稀であり、DVの悩みを抱える人は、まず、地域の女性相談センターかウィメンズプラザに行き(警察へ相談に行くとこれらの機関への紹介なり引き継ぎをしてくれます。)、DV保護命令の申立ての補助をしてくれます。
弁護士には、その後の相手方(配偶者等―近時はデートDVなど婚姻関係にない男女間のDVも保護の対象になっています。)との関係の解消(離婚等)について相談すると良いでしょう。
DVの悩みを抱える人のうち、婚姻関係あるいは内縁関係にある場合に小さいお子さんがおられるケースも多く、まず、同居している家からお子さんを伴って出なければならないなどかなり負担やストレスを感じるものです。しかし、子どものためなどの理由で我慢して決断ができずにズルズルと婚姻関係を続けて、DVによる暴力がエスカレートして大きな被害を受けたり、子どもに悪影響を与える事態も考えられます。DVの被害に遇われている方は、なかなか冷静な判断をすることが難しいいわゆる「囚われの身」になっているといわれます。
独りで悩まないで、早めに遠慮なくご相談ください。上記のような全体の事態への対処を考えた有効なアドバイスができると思います。ただし、DV保護命令の申立ては、あくまでDV防止法の申立要件の審査を経て、被害者を守るための制度であり、離婚訴訟等を有利に運ぶための手段ではありません。DVからの保護を受ける必要とその後の当事者間の関係の在り方対処については、個々に慎重に相談の上対処してゆくことになると思います。
保全の重要性、民事訴訟で勝訴して判決(債務名義)を取得しても、目的を遂げるための財産保全が必要となります。
保全事件で今日多くの割合を占めるに至っているのは、インターネット関係の保全申立てです。保全事件はその執行にも技術的側面があり、専門部に勤務していた当職ならではのアドバイスが可能です。
DV(ドメスティック・バイオレンス)事件は、離婚事件への流れなど先を見通した申立てが重要で、大変な中、冷静で沈着な行動をとるためにも是非ご相談下さい。
また、緊急を要する事件について、保全を検討する場面についてもご相談下さい。