トピックス
民事執行
2018/3/6
ハーグ子奪取返還条約と人身保護請求

昨年のH29.12.29(当事務所News記事掲載)、最高裁がハーグ子奪取返還条約に基づく米国人父親から日本へ子を連れ帰った日本人母親に対する請求を事情変更があったとして、請求を棄却した記事に触れた。今年、H30.3.5、この事件の記事として、下記リンク先のように、今度は、人身保護法に基づく上記米国人父からの子についての人身保護請求がなされているという。この記事を読んだだけでは、一般市民の方々には、裁判手続きの構造が分かりにくいかも知れません。近年、少子化社会を反映して、別れた夫婦間における子の親権・監護権の奪い合いが裁判でよく取り上げられています。難しい問題ですが、国内では、まず、家庭裁判所へ子の親権等が自分の方にあることを求める裁判を求めることになります(その際、本案のほかに保全の審判手続もあり、判断が分かれることもあります。)。本件記事のように、国際結婚した夫婦間において、子と暮らしていた本国(外国)から日本人の母親が子とともに本国の実家等へ外国人夫の承諾なく連れ帰ってしまって、そこで生活するようになった場合、外国人夫は、上記ハーグ条約(に基づく子奪取返還のための国内法)に基づき、子の返還請求ができることになっています。本件では、第一審の東京家裁にまず事件が係属し、さらに上級審(東京高裁)で、昨年末の記事のように、日本人の母親に対して、米国人夫へ子の返還を命じる裁判があり、それが上告されて最高裁は、逆に事情変更があったとして、原審の返還を命ずる裁判を覆したのでした(結果として、母親は子を父親に返さなくてもよい状態)。その後の経過として、今回の人身保護請求を米国人の父親が請求し、今度は、原審(名古屋高裁金沢支部)で、人身保護請求が棄却された模様で、それを不服として、米国人父親が上告したものと思われます。この上告審で、最高裁は、双方から審問という形で話をきく期日を開いたということですので、一般的には原審を維持する場合には期日を開かないことからすると、今回は、原審の判断を覆す可能性が高いと見られています。そうなると今度は、子は人身保護請求により米国人父親のもとへ戻せということになるはずです。結果的に、ハーグ条約を遵守する形となるわけです。なお、一般市民の方々は、上記のように裁判所の判断が転々とするのならば、なぜ、最初から人身保護請求一本で勝敗が決まらないのかと疑問に思われるかもしれません。しかし、人身保護請求には補充性の原則といって、他の手続がほかにない場合に、いわば最後の手段として申立てが許されている性質のものなので、ここまで来ていることになります。子の問題を巡って(元)夫婦間で厳しい対立が生じ、このような人身保護請求手続にまで至るケースというのは、今後も増えることはあっても減ることはないように見えます。ただ、大事なのは、あくまで子の生育環境であって、手続的正義との綱引きになるため、上記のように判断がまちまちになることが多いと言えましょう。記事のリンク先はこちら⇒ハーグ条約と人身保護請求

2017/11/24
貸金などの債権回収

貸金などの債権回収のため、訴訟で勝訴判決を取ったはいいものの、債権者が任意に支払わなければ強制執行になる可能性がございます。
債務者のどの財産を執行するかを特定する必要がございます。仮に預金債権に執行する場合、債務者の銀行預金の支店名まで特定しないと執行申立てが却下されます(最高裁H23.9.20決定)。
現在、法務省では民事執行法の改正を検討している模様です。養育費や賠償金の不払いなどを許さない方向へ進んでおり、今後は上記支店の特定がなくても債務者の財産へ執行が可能となる流れのようです。